健診で「アミラーゼが高いといわれたけど言われたけど、膵がんが心配で・・・」と受診される方がいらっしゃいます。ネットで検索すると、確かに膵がんの可能性に関しても書かれています。なかには膵がんを強調している書き方をしているものもあります。心配するのも当然です。
高アミラーゼ血症(血液のアミラーゼ値が高いこと)の原因はさまざまです。
高アミラーゼ血症といえば、まず急性膵炎です。ただ、急性膵炎の場合は、健診で指摘されるというより、激しい腹痛を伴うことが多いので、普通は健診どころではありません。
健診で高アミラーゼ血症を指摘された場合、まずそれが膵臓由来(P型)なのか唾液由来(S型)なのかを採血により調べます。アミラーゼはデンプンを分解する酵素で、膵臓からも唾液腺からも分泌されます。P型であれば、膵臓を徹底的に調べます。S型であれば口腔外科や耳鼻科で診てもらいますが、原因不明のことが多いです。ほかに、アミラーゼ産生腫瘍、腎機能低下が原因になっていることもあります。
病気ではありませんが、マクロアミラーゼ血症というものがあります。これは免疫グロブリン(IgGまたはIgA)がアミラーゼと複合体を形成して高分子になるため、腎臓から排出できずに血液内にとどまり、血液中のアミラーゼ値が高値になるというものです。
いずれにしても、アミラーゼが高いからといって、必ずしも重大な病気というわけではありません。
しかし、なかには重大な病気の可能性もありえるため、精密検査は必要になります。