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2025.01.31

腎機能の評価(クレアチニン、シスタチンCについて)

健診などの採血で、腎機能の項目にクレアチニンとかeGFRを見たことがあると思います。
なかなか理解しにくい項目の一つかもしれません。
一般的に以下のことがいえます。
・血清クレアチニン値が高いと腎機能が低下。
・eGFRが低いと腎機能が低下。

腎臓は糸球体で血液中の老廃物を濾過して尿に排出する機能を備えています。その濾過量(GFR)は腎機能を知る指標となります。

慢性腎臓病は、生活習慣病や高齢化に伴い増えている疾患です。
その早期発見のためには、血清クレアチンや尿蛋白の測定が有用です。

そのクレアチンは、腎臓の働きが衰えると腎臓から排泄されにくくなり、血液中のクレアチニン濃度が上昇します。そこで、血清クレアチニン濃度、年齢、性別からeGFR(推定糸球体濾過量)を導き出します。
ただし、クレアチニンは筋肉で産生されるため、筋肉量が多い方は数値が高くなるという問題点があります。

そこで、筋肉量の影響を受けないシスタチンCというものを測定して腎機能を評価することがあります。シスタチンCもクレアチニンと同様に腎臓の働きが悪くなると血中濃度が上昇します。

クレアチニンによるeGFRが低値(腎機能低下)を指摘された方でも、シスタチンCによるeGFRが低下していなければ、死亡リスクや末期腎不全リスクは低いと報告されています。
N Engl J Med. 2013 Sep 5;369(10):932-43

また、シスタチンCによるeGFRと死亡率、心血管疾患の発症率、末期腎不全発症率は逆比例関係にあり(シスタチンCによるeGFRが高ければリスクが低く、低ければリスクが高い)、正確にリスクを評価するにはシスタチンCを用いることが有用とされています。
Nat Med. 2019 Nov 7;25(11):1753–1760

では、なぜ一般的な採血で、シスタチンCではなくクレアチンを測定するのでしょうか。理由はおもに2つ。
一つは、保険診療ではシスタチンCの測定は短期間に何度も測定できないこと、もう一つはクレアチニンと比べて検査料が高額であることです。
腎機能の評価の際には、基本的にクレアチニンを測定し、eGFR低下が筋肉量によると思われる場合は、必要に応じてシスタチンCの測定が参考になります。

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