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2025.11.28

アニサキス症とアニサキスアレルギーの違い

「アニサキス」って聞いたことがある方は多いと思います。ご存じの「アニサキス」は、アニサキス症のことだと思います。今回は、アニサキス症とアニサキスアレルギーの違いや対処法について説明します。

アニサキス症
アニサキス症は、アニサキスという寄生虫の感染症で、胃や腸に感染します。主な感染経路は、アニサキスが寄生した海産魚介類の生食です。魚介類生食の数時間後(場合によって数日後)に激しい腹痛や嘔吐、時に腸閉塞や消化管穿孔をおこすことがあります。
腹部症状がなく、別の理由で施行した内視鏡検査で、たまたまアニサキスが見つかる場合もあります。
いずれの場合も、胃の粘膜に穿入した虫体を内視鏡施行時に鉗子でつまんで取り除きます。この治療に慣れている医師が行えば、さほど難しい治療ではありません。

では、アニサキスに感染しても症状が出る方と出ない方がいるのはなぜか?
すでに有するアニサキス抗体を介した局所のアレルギー反応が痛みに関与していると考えられていますので、症状が出る方は、以前にアニサキスに感染したことがある方ということになります。
過去に治療した患者さんで、10匹のアニサキスが穿入していた方をみたことがあります。その方は無症状で、たまたま健診で受けた内視鏡検査でみつかり、穿入したアニサキスをすべて摘出しました。これで無症状なんて・・・。不思議ですね。

なお、アニサキスは、60℃1分の加熱、-20℃24時間以上の冷凍で死滅します。食酢、塩、醤油、わさびは無効です。

アニサキスアレルギー
海産 魚介類を食べた後に出現するアレルギー反応です。蕁麻疹程度の症状の場合もあれば。血圧降下、呼吸不全、意識消失などのアナフィラキシー症状を呈する場合もあります。原因となるアニサキス抗原(アニサキスのタンパク成分)のなかには、加熱によっても抗原性を失わないアニサキス抗原があります。そのような抗原に対して感作された場合は、加熱した海産魚介類を食べただけでアレルギー反応が出ることがあります。
アニサキスに感染している魚介類はもちろんのことですが、アニサキスに感染していなくても、その成分(抗原)が付着しているだけでアレルギー反応が出ることがありますので、アニサキスアレルギーと診断された場合には、加熱・非加熱問わず海産魚介類を避けた方がよいとされています。

実は、海産魚介類を生食することで、無症状のままアニサキスによる感作が起こっている可能性があると考えられています。アニサキス症およびアニサキスアレルギーの予防のためには、アニサキス抗原に感作されないようにすることが大切です。そのためには、幼少期から海産魚介類の生食には注意が必要ですが、現実問題として、特に日本人には難しいかもしれません。

ここで気をつけるべきは、青魚を食べると、いつもお腹が痛くなる、蕁麻疹が出るなどの症状がある方は、青魚のアレルギーのこともありますが、実はアニサキスアレルギーのことがあります。特に、青魚だけではなく海産魚介類を食べると症状が出る方は、アニサキスアレルギーを疑った方がいいかもしれません。
もし、このような症状がある方はご相談ください。

まとめ
・アニサキス症は感染症で、アニサキスを摘出することが治療になります。
・アニサキスアレルギーは、アニサキス抗原に対するアレルギー反応で、慎重な対応が必要です。

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