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2025.09.03

便秘と大腸がん

便秘は大腸がんの原因となると、長い間信じられていました。便中の有害物質により大腸がんができやすくなる…と思っている方は結構多いのではないでしょうか。
実はそうでもないのです。下記の研究を紹介します。

Bowel movement, state of stool, and subsequent risk for colorectal cancer: the Japan public health center-based prospective study – PubMed

男性27,529人、女性30,411人の合計約6万人の分析で、対象者の便通の頻度を「週2~3回」「毎日1回」「毎日2回以上」の3つグループに分けて、大腸がんにかかる割合を比較した研究です。結果として、グループによって大腸がんにかかる割合に差がありませんでした。この研究からは、便秘気味だからといって大腸がんにかかりやすいとは言えないようです。
人によって排便回数は異なります。2~3日に1回の人もいれば、1日でも排便がないと気が済まない人もいたり、1日3回くらいの人もいます。便の回数や性状が安定していれば、あまり心配しすぎなくてもいいかと思います。
便が出ないことが心配で、市販の便秘治療薬を過剰に常用している方がいます。この多くは刺激性下剤のため、薬を服用しないと便が出なくなってしまったり、薬がないと不安になってしまったりすることがあるため注意が必要です。例えば、3日排便がなかったら下剤を服用するなどのルールを決めるのも一案です。
ある程度の年齢になった方から、便が細くなった、便が少なくなったなどの相談を受けることがあります。実際に病気を患っていることもありますが、若いころと比較していることも往々にしてあります。当然といえば当然ですが、加齢とともに腸の柔軟性が低下したり、食べる量がすくなくなるので、便の性状もかわってきます。内視鏡などの検査を受けて異常がなければ、歳を重ねると若いころとは違うということを受け入れて、その体とうまく付き合うことも大切です。

ただ、もともと便秘でない人が便秘になったり下痢になったりする場合は注意が必要です。また、もともと便秘気味な人に腫瘍ができても、「いつも便秘だから…」と決めつけてしまうことで見落とされる場合もあり、決めつけないことも大切です。

お伝えしたいことは、便秘だから大腸がんにかかりやすいという明確なデータはないことです。内視鏡検査を受けて異常がなければ、過度に心配しないでもいいと思います。もちろん、便秘の「あり」「なし」にかかわらず、ある程度の定期的な内視鏡検査は病気の早期発見には有用ですので、検査を受けなくてよいということではありません。
気になる症状があれば、いつでもご相談ください。

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