大腸カメラを受けたときに、「大腸メラノーシス」と言われた方は、ぜひこのページを読んでください。
便秘に効くと謳っている健康食品を常用している方も読んでください。
大腸メラノーシスとは・・・
大腸メラノーシスとは、大腸の粘膜に色素(リポフスチン)が沈着して、粘膜が黒色に変化する状態です。大腸メラノーシスの原因は、アントラキノン系薬剤(センナ)、アロエ、大黄などを主成分とする薬剤や一部のサプリの長期服用です。
下剤を服用していますか?と問診しても、漢方薬や下剤成分を含むサプリメントについては、ほとんどの方が使っていることを伝えてくれません。便秘治療に用いる漢方に限らず、漢方薬を薬と思っていないで乱用している方は、それなりに多くいるように思います。
「便秘に効く」「ダイエット効果」を謳っている健康食品・サプリには下剤が含まれていることが結構あります。そんなに都合よく痩せられるわけがありません。便が出るのも、体重が減るのも、下剤が入っているので当然です。
ではなぜ漢方薬や健康食品の乱用に問題があるのか説明いたします。
漢方薬
何となく漢方なら安全…と考えて、医療機関で処方された薬は服用せず、市販の漢方薬を服用し続けている方がいます。処方薬に関しても、漢方薬にこだわりが強い方もいます。私はそれなりに漢方薬を処方しますが、どの漢方薬でも、長期投与にてきしているものとそうでないものを使い分けています。成分によっては投与量を調整しなければなりません。便秘治療薬に含まれる大黄は気をつけるべき成分の一つです。
大黄を含む漢方薬は、大黄甘草湯(4.0g)、調胃承気湯(2.0g)、桃核承気湯(3.0g)、麻子仁丸(4.0g)、潤腸湯(2.0g)、防風通聖散(1.5g)、乙字湯(0.5g)などです。ダイエット目的に防風通聖散を連用している方がいますが、実は大黄が含まれています。大黄は刺激性の下剤で、耐性ができやすく、だんだんと聞かなくなってきます。
ただ、漢方も使い方によってはとても有用です。特にご高齢の方は、腸に多少の刺激を与えないと腸が動かない場合があります。若い方でも限定的な使い方であればいいと思います。
最近はさまざまな下剤があり、いろいろと試す価値はあると思います。ご希望あれば症状に合わせて処方しますのでご相談ください。
健康食品・サプリメント
薬ではないので安心と思っている方が多く、常用している方が多くいます。
成分表をご確認ください。大黄、センナ、アロエ・・・いろいろな下剤が記載されていると思います。
「えっ、アロエ」って思うかもしれませんが、アロエも立派な下剤で、メラノーシスの原因になります。
最近では、キャンドルブッシュ(別名ゴールデンキャンドル、ハネセンナ、学名カッシア・アラタ)が問題になっています。キャンドルブッシュにはセンノシドが含まれており、要は下剤です。
健康茶、ハーブティーは、何となく安心できる名称ですが、下剤を飲んでいるという認識を持ってください。東京都健康安全研究センターや国民生活センターなどでも注意喚起されています。日本では健康食品は野放し状態です。「健康」であるためには、それが本当に自分に必要なものなのかを考える姿勢が大切です。
多くの方が便秘に悩まされています。
まずは、運動療法、食生活の改善、十分な飲水などを心がけ、それでもうまくいかない場合は、補助的に薬を使うのが良いかと思います。その場合は、自己判断で漢方薬や健康茶に手を出すのではなく、適切な医療機関で、適切な医師に処方してもらうことをおすすめします。





