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2023.11.21

憩室について(おもに大腸憩室)(2)

前回に続いて、大腸憩室に関して説明します。

ところで大腸に憩室があると、何が問題なのでしょうか。

1. 左側大腸に憩室が多くできると、便が細くなったり、残便感、腹部違和感などの症状が現れます。

2. 憩室で炎症を起こすことがあります(大腸憩室炎)。
腹痛、発熱などの症状が現れ、ひどいときには穿孔(腸に穴があくこと)することがあります。症状や採血データによっては緊急入院、絶食で点滴が必要になることもあります。特に憩室の存在を指摘された方は、お腹が痛くなった時は放っておくことはせず、必ず医療機関を受診してください。

3. 憩室から出血することがあります(大腸憩室出血)。
これがまた内視鏡医泣かせです。
緊急で下剤を飲んでせっかく大腸カメラをしても、出血源を特定できず。翌日になって再出血して、やっと出血源を特定できたと思って止血したのに再出血…などということもあることです。憩室を指摘されたことがある方が、腹痛なく突然多量の血便が出たときは、すぐに医療機関を受診してください。

大腸憩室があることで引き起こされる厄介事に関して説明しましたが、皆さんが一番心配されているのは、「憩室から癌ができるのか?」ということではないでしょうか。
大腸憩室から癌ができやすいとするデータはなく、「大腸憩室から癌ができた」というのは報告レベルです。ただし、左側の大腸に憩室を有している人に、大腸がんが合併している率は高いとする報告はあります(憩室自体が癌になりやすいということではありません)。
近年、左側の大腸憩室は増加傾向のため、大腸がんにも注意が必要と言えます。
つまり、憩室から癌ができる可能性は極めて低いと言えますが、左側大腸に憩室が多く存在する人は、癌ができやすい腸である可能性があるということです。

憩室がある方に大腸カメラを行うと、前処置で下剤をしっかり飲んでも、小さい便が残っていることがあり、観察が難しいことがあります。また、憩室が多く存在すると、腸が広がりにくく、大腸のヒダの間の観察が難しいことがあります。憩室がある方は、ある程度定期的に大腸カメラを行った方がよいかもしれません(私の知る限りそのデータはありませんが)。
また、憩室が多くある方の腸は、大腸カメラを入れにくい割合が高く、そのような方には、鎮静剤および鎮痛剤を積極的に使用して大腸カメラを受けることをおすすめしています。

残念なことに、憩室は増えることはあって減ることはありません。憩室を増やさないようにするために、食物繊維を摂取、十分な飲水、運動などで便秘にならないよう生活習慣を改善しましょう。

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